【 知識武装 】ハチに刺されない為の対策・刺された時の対処法

キャンプのあれこれ

虫の中でも嫌われているハチ・ムカデ・毛虫といった毒虫。

攻撃されれば激痛が走り、最悪の場合 命に関わるので当然です。特に飛行能力をもつハチ類はその羽音だけで僕ら人間に恐怖を感じさせます。

今回はアウトドアに付きモノである毒虫の中から、ハチに焦点を当てて『刺されない為の対策』『刺された時の対処法』をご紹介。

僕はムカデを飼育していたことがあり毒虫についてかなり調べたので、参考になると思います。

よく見かけるハチ

誰でも知っているハチとなるとスズメバチですが、一口にスズメバチと言っても僕が認知してるだけで9種類存在します。その1つ1つを挙げていくと論文が出来てしまうので、今回はハチを大きく種類分けして解説。

よく見かけるハチ

  • スズメバチ
  • アシナガバチ
  • ミツバチ
  • クマバチ

皆さんの頭にパッと浮かんだのも、恐らくこの4種類だと思います。

ハチ毒の成分・作用

よく見かけるハチの気になる危険性ですが、攻撃性・毒性の強さでやはりスズメバチが最も危険です。次いでアシナガバチ、ミツバチ、クマバチと続きます。

ハチ毒はさまざまな成分が複合されており、大きく『アミン類』『低分子ペプチド』『酵素類』の3種類に分けられ、有名なオオスズメバチには上記 3種に加え『非酵素系神経毒』が追加。

なのでスズメバチ類の中でもオオスズメバチには特に注意が必要です。

オオスズメバチは他のスズメバチ類より大きく、成人男性の親指ぐらいのサイズでオレンジ色が強いのが特徴。見かけたら安易に近寄らないようにしましょう。

ハチ毒の各成分による人体作用は以下の通り。

アミン類痛み・痒み
(スズメバチはアミン類が多く含まれている)
低分子ペプチド痛み・赤血球の破壊・血圧低下・アレルギー症状
酵素類組織障害・赤血球の破壊・アレルギー症状
非酵素系神経毒神経系に作用

刺された時の対処法

万が一刺されてしまったら、まずは落ち着くことが大切

まるで高電圧を喰らったかのようなバチッとした激痛が走りますが、パニックになって急な動作をしてしまうと余計にハチを興奮させてしまいます。

ハチは急激に動くモノを追いかける習性があり、また攻撃と同時に仲間を呼び寄せるフェロモンを分泌するので、姿勢を低くして刺された場所から最低20m、ゆっくり離れましょう。

ハチが攻撃してくるのは巣に近づいてしまったことが原因なので、巣の所在が分からない場合はハチが襲ってきた方向と真逆に逃げます。

ハチ毒は水溶性

襲撃された場所から離れたら、傷口を絞るように水で洗い流します。

ハチ毒は水に溶けやすい性質なので、これをするだけで毒の効果を弱め腫れを抑える効果が期待できます。

ミツバチに刺された場合は針・毒嚢を取り除く

スズメバチやアシナガバチに刺された場合、毒針が皮膚に刺さったままになることは滅多にありません。しかしミツバチは別です。ミツバチはかえしが付いた毒針・毒嚢どくのう臀部でんぶの肉ごと引き離して攻撃対象に残していきます。

毒はスズメバチやアシナガバチに比べ強くありませんが、本体から引き離された後も針から毒を注入し続けるので、放置していると痛みが長時間続いてしまう結果に。

指で取ろうとすると針がより深く刺さってしまったり、毒嚢が破れてより多くの毒が体内に入ってしまう可能性があるので、理想はピンセット、無ければカード等で根本から払い落とすようにして除去しましょう。

毒を絞り出す

針を取り除いたら、もう1度 血液ごと絞り出すように毒を抜きます。ひとしきり絞り出せたと思ったあと、さらにポイズンリムーバーで吸い出せば気持ち的に安心です。

※ポイズンリムーバーは化学的に効果が実証されておらず、「使ってない時に比べて腫れがマシだった」というレビューから効果が期待されているアイテム

薬を塗る

よく「ハチ刺されにはアンモニア!」と聞くかもしれませんが、効果ないのでやめておきましょう。

ハチ毒にはステロイド剤が入った軟膏がおすすめ。ステロイド剤には抗炎症効果や免疫抑制効果がありハチ毒による腫れを抑えてくれます。

刺された箇所が痒くて仕方がない場合は抗ヒスタミン剤が入った軟膏を使うことで痒みを抑制できるので、理想はステロイド剤・抗ヒスタミン剤の両方が入った軟膏を常備するのが良いですね。

ムヒアルファEXは効果が期待でき購入しやすい価格帯なのでおすすめ。

安静に。少しでも違和感があれば病院へ

刺されたら安静第一。

もし呼吸が苦しかったり眩暈、蕁麻疹などがでた場合は、すぐに病院へ行ってください

ハチに刺されて命を落とす原因はアナフィラキシーショックによるもので、ショックが起きるかどうかは個人差が大きいです。

よく「刺されるのは2回目から危ない」と云われるのはアナフィラキシーが起きやすい為とされますが、1回目から重度のアレルギー反応を起こす人も多く存在します。

そのため少しでも違和感を感じたらすぐ病院受診しましょう。違和感がなくても、可能なら病院受診をしておくに越したことはありません。

刺されない為には

刺された時の対処法をご紹介しましたが、そもそも刺されないのが1番ですよね。

「これさえ注意していれば絶対に刺されません!」

なんて奇跡みたいな方法はありませんが、少なくとも刺される可能性を下げることはできます。

大前提:ハチが襲ってくるのは巣に近づいたから・攻撃されたから

ハチの厳つい外見、大きな羽音。

ハチが近づいてくるとビビってしまいますが、本来、ハチは自ら好んで人間を襲いません

アシナガバチやクマバチが人間の周りでホバリングするのも「お? こんな所にこんなのあったっけ?」と普段そこに無いものが有るから。

焦らずゆっくり姿勢を低くする・動かないことで刺される可能性はほぼ無くなります。

では巣に近づかないようにするにはどうするか?

1番はハチがどのような場所に巣を作るのか知ることです。

アシナガバチ

軒下など目に付く所を除けば、アシナガバチは基本的にやぶや樹上に巣を作るので、ハチが活発化する7月〜11月は薮などに近付かないのが1番です。僕も剪定中にバッサバサと刈り込んだら刺されました。

※そこまで腫れませんでしたが刺された右人差し指がよりソーセージみたいに

ミツバチ・クマバチ

ミツバチの巣はあまり見かけませんが、主に作られるのは倉庫の隙間など人目に付きにくい所。また同じミツバチの仲間であるクマバチ同様、木の中にも巣を作ります。

木を伐採する剪定業の方からミツバチやクマバチに刺されたって話をよく聞くのは、ミツバチ達が木の中に巣を作るからなんでしょうね。

スズメバチ

攻撃性・毒性だけじゃ飽き足らず、巣の見つけにくさの面でもスズメバチは厄介。

軒下や樹上はもちろん、スズメバチは地面の中にまで巣を作ってしまいます。目に見えない巣に近付きすぎて攻撃してくるなんて、理不尽そのものです。

ただ多くの場合、スズメバチは巣に近付くモノに警告を行います。

  • 目の前でホバリング
  • カチカチと顎を鳴らす
  • 周囲をグルグルと飛び回る

目の前でホバリングされるとめっちゃ恐いです。

カチカチと顎を鳴らす音はかなり大きいので、よほど人間側が騒いでいなければ聞き逃すことはありません。

この段階で慌てず姿勢を低くし、ゆっくりと後退すれば安全。ですが周囲をグルグルと飛び回り始めている時は要警戒です。この行為は人間を「巣に危害を加えるモノ」と認識している可能性が高く、飛び回りながら仲間を呼び寄せる警戒フェロモンを放出している段階。

走り出したくなりますが、ここでもゆっくり姿勢を低くして後退。危険物認定されている時に急激な動きを見せるのは悪手です。落ち着いて行動しましょう。

まあ仮に走って逃げても、スズメバチは時速40kmで飛べるので逃げられないけどね!

最後に1番大事なことをお伝えします。

スズメバチは他のアシナガやミツバチとは違い、毒液を噴射する攻撃もしてきます

これが口内や傷口に入るともちろん大変ですが、特に警戒したいのが

目は人体で唯一剥き出しの臓器で、そこにスズメバチの毒液が入ると数十分も激痛に悩まされる事になります。

服装などの要素

巣に近付かない、攻撃しない、急な動作を控える

それらに加え、刺される可能性を低めるのに有効な手はまだあります。

有名な話ですが整髪料や制汗剤、香水を付けすぎないことが大切です。虫は匂いを感じ取る器官が優れている種類が多く、ハチも例外ではありません

キャンプの際たまに2区画も離れているのに香ってくるほど強力な香水を付けている方に会いますが、自然の中では自殺行為なので付ける量を控えたほうが良いです。理想は無香料

あとは服装ですが、ハチは景色を明暗で視ていて、暗い色をより認識しやすいとされています。

実際に白い生地と黒い生地、どちらに反応を示すのか実験した場合、ハチが興味を示すのは黒い生地という検証結果もあるので、アウトドアの際は暗い服は避けたほうが無難でしょう。

最近は増えてきてますが、テントに黒色が少なかった理由の1つが「虫を寄せつけないように」ってのは有名な話ですね。

持ってると安心できる応急アイテム

針・毒嚢を取り除くためのピンセットはこちら

抗炎症や免疫抑制効果のあるオススメ軟膏はこちら

やれば安心できるポイズンリムーバーはこちら

スズメバチにも効く! 使いやすいバズーカタイプ 蜂スプレーはこちら

(※蜂スプレーは単体で飛んでいる蜂、スズメバチ以外の作りかけの巣に使用。大きく育った巣やスズメバチの巣は危険なので専門駆除業者にお願いするのがベストです)

まとめ

ハチに刺されない為の対策・身なり編

  • 匂いの強い香水、制汗剤、整髪料は使わない
  • 暗い色の服装は避ける

ハチに刺されない為の対策・行動編

  • ハチの前で急激な動きをしない
  • 警告されている場合はゆっくり離れる
  • 薮など人が通った形跡が少ない場所に近付かない
  • 巣を見つけたら静かに離れる(キャンプ場で見つけたら管理人さんに報告する)

ハチに刺された時の対処法

  • まず落ち着く。激痛だけどパニックにならない
  • ゆっくり退避する
  • 毒を絞り出すように水で洗う
  • ミツバチに刺された場合は毒針、毒嚢どくのうをピンセットやカードで取り除く(指はNG)
  • もう1度 毒を絞り出す
  • ステロイド系の軟膏(薬)を塗る
  • 安静にする(違和感が少しでもある場合は即 病院へ

以上です。

ハチは見た目が恐いし羽音もデカいし実際に刺されたら激痛走るしで、できれば遭遇したくない虫ですが、基本的に自ら人間を襲うようなことはしません。

落ち着いて対処して、楽しいアウトドア時間を過ごしましょう。

それではまた。

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